イチゴは、初心者でもプランターではなく畑や庭で栽培できます。
今回はイチゴ栽培方法の露地栽培についてまとめました。
- イチゴ露地栽培とハウス栽培の違い
- 露地栽培のスケジュール
- 水やり・肥料・土作りについて
- イチゴ露地栽培の注意点
- 甘くて美味しいイチゴの作り方
イチゴの自然な生育サイクルに沿った露地栽培では、初心者でも簡単にイチゴを育てられます。
露地でのイチゴの栽培方法をおさえて美味しいイチゴを作りましょう。
イチゴ露地栽培とハウス栽培の違い
イチゴは露地栽培とハウス栽培どちらでも栽培が可能です。
露地栽培とハウス栽培の違いについて解説します。
「露地」とは、「屋根がなく、雨が直接地面に当たる土地」を指します。
つまり、「露地栽培」は、「雨が直接地面に当たる土地」で栽培する方法です。
露地栽培は、自然の環境で栽培されるため、イチゴ本来の味を楽しめます。一方で、雨風や気温など天候の影響を受けるため、出荷量や品質を安定させにくいのがデメリットです。
「ハウス栽培」は、「屋根があって雨が直接地面に当たらない土地」で栽培する方法です。
ハウス栽培は、雨風や気温など天候の影響を受けにくく、出荷量や品質を安定させやすいのがメリットです。
一方で、 デメリットとしてはビニールハウスの維持費や温度調整に必要な燃料代がかかるので、値段が高くなる点が挙げられます。
露地栽培のスケジュール
露地栽培は、10月中旬~下旬頃に苗を植えつけ、その翌年5月~6月頃に収穫をします。
イチゴは冬の果物のイメージがありますが、冬に出ているイチゴはハウス栽培で作られたイチゴです。
また、秋から春にかけての低温期の栽培は、病害虫の発生が少ないため、初心者の栽培にも向いています。
露地栽培のスケジュールについて詳細をまとめました。
- 苗の準備
- 作り
- 植え付け
- 追肥・マルチング
- 人工授粉
- ランナー摘み・わき芽かき・摘果
- 収穫
- 子株作り
イチゴの自然な生育サイクルである露地栽培では、早い時期の収穫はできません。しかし、春には美味しいイチゴの収穫ができるのが特徴です。
苗の準備
イチゴの苗は、秋になるとホームセンターなどで販売されます。苗は大きくて根がしっかり張っている、健康な苗を選ぶのがポイントです。
お店によっては日陰に置いてあったり、水切れしていたりする場合があるので、買う際には注意してください。
また、売れ残って長く置かれている苗は、肥料切れを起こしていたり、老化したりしている可能性があるため、入荷されてすぐの新鮮な苗を選びましょう。
作り
植え付けるまでに、土に堆肥・石灰・元肥を入れて「土作り」を行います。
堆肥・石灰・元肥は、良く土になじむよう3週間前までに終わらせておきましょう。苗植えの3週間前に堆肥を入れ、その1週間後に石灰 、さらに1週間後に元肥を投入するのがおすすめです。
手間と時間はかかりますが、土に資材が良くなじみ、質の良い土が作れます。
また、苗を植えたりするために、畑の土を細長く盛り上げたものを「畝」、畝をつくることを「畝立て」といいます。イチゴも良く育つよう高く畝立てを行いましょう。
植え付け
苗と苗の間は必ず30cm空け、たっぷりと水をやります。
苗の元にあるクラウンと呼ばれる葉の付け根部分が土に埋まらないように浅く植えましょう。クラウンは生長点なので、この部分に土を被せてしまうと上手く育たないので注意してください。
また、イチゴは親株側のランナーの反対側に花が咲きます。そのため、ランナーを畝の内側へ向けて植えると、収穫作業がやりやすいです。
追肥・マルチング
苗が活着したころと、冬越しして休眠が明ける2月下旬~3月上旬に2回、化成肥料を(目安として1㎡あたり50g)株間に追肥します。
イチゴの根の上に直接まくと、根が肥あたりして、苗が枯れる可能性があるので注意してください。
農業用の資材で畝の表面を覆う方法を「マルチング(マルチ)」といいます。
マルチングをすると、地温を上げ花芽の生長を促され、雨水の跳ね返りを防いで病気や果実の腐敗を防げます。
追肥を終えたらマルチングし、地温を上げましょう。
また、春からは雑草が増えるため、雑草抑制の効果が高い黒色マルチがおすすめです。
人工授粉
ミツバチなどがまだ来ない時期に花が咲いたら、午前中にやわらかい筆で花の中をなでて人工受粉をしましょう。
受粉がうまくいかないと、かたくておいしさがない奇形果ができてしまいます。
早い時期に花が咲いた場合は、美味しいイチゴを栽培できるよう、人工授粉させるのがおすすめです。
ランナー摘み・わき芽かき・摘果
伸び出したランナーはこまめに株元から摘み取りましょう(ランナー摘み)。伸びてきたランナーをそのままにしておくと、栄養がランナーに取られて美味しい実ができません。
ランナーと一緒にわき芽も伸びてきますが、これも一緒に取り除きましょう(わき芽かき)。わき芽を残しておくとイチゴが小さく育ってしまいます。
また、受粉がうまくいかず変形した実も、小さいうちに摘み取っておきましょう(摘果)。
収穫
開花から30〜40日すると実が熟してきます。
赤く色づいたばかりのイチゴはまだ酸っぱいので、ヘタまで色づいて充分熟したら温度が低い午前中に摘み取りましょう。
赤くなった実を長く株に付けていると、鳥に食べられたり、ナメクジなどに穴を空けられてしまうので注意してください。
イチゴは品種の問題、栽培過程での日照や肥料によって甘くなります。赤くなってから放置しても甘くはならないため、実の全体が赤くなったら必ず収穫しましょう。
子株づくり
イチゴの収穫が終わったら、来シーズン用の苗を作りましょう。
健康な親株から伸び出すランナーの先につく子株を育てて苗にします。
親株からすぐの子株は親株からの病害伝播の可能性があるため、苗として利用するのは2番目と3番目が望ましいです。
親株側のランナーを約2cm残して切り、反対側のランナーは付け根で切り苗床へ植え付けます。
育ち具合を見て1〜2回、株間に追肥を施し苗を育てましょう。
水やり・肥料・土作りについて
イチゴを育てる際には、しっかりと水やりをする必要があります。
地植えの場合は雨が降るので、頻繁に行わなくても良いですが、冬は乾燥させ過ぎないように注意してください。
株の様子を見て、土が乾燥してきたらジョーロ、もしくはホースのシャワーなどを使ってしっかり水を与えましょう。
また、イチゴは、肥料によって根が傷み、場合により枯死する「肥料やけ」が起きやすいのが特徴です。
根が直接肥料に触れたり、過剰な養分にさらされたりすると発生します。一度に肥料をやりすぎず、使用量をしっかり守りましょう。
土作りに関して、イチゴを栽培する際には、約60cm幅、高さ約15cmの畝を立てます。
イチゴは、水はけのよい土壌環境を好むので、排水性の悪い場合は高さを約20cm以上の高畝にしてもよいでしょう。
また、土作りをするときには土壌酸度(pH)にも注意してください。
作物は種類ごとに生育に適したpH値(好適土壌酸度)があります。
イチゴを栽培する際の土壌酸度(pH)の目安は5.5〜6.5です。
pHは0だと酸性が強く、14に近づくとアルカリ性が強い傾向にあります。
土壌は作物を育てていると酸性に傾いてきます。
酸性が強いと、野菜の根が傷むなど、野菜にとっては悪環境です。
しかし、アルカリ性が強すぎても、養分の吸収が妨げられ、野菜の育ちが悪くなり、病気もでやすくなります。
土に刺すとpH値を測定してくれる器械もあるので活用するとよいでしょう。
土壌をアルカリ性にするには、石灰資材(アルカリ性資材)を土に投入します。
雨の当たらないハウス栽培でアルカリ土壌になった場合は、改良用土や酸性肥料を土に入れると酸性に調整できます。
イチゴ露地栽培の注意点
イチゴの露地栽培をするにあたって注意点が3点あります。
- 枯葉の除去
- 害虫対策
- 鳥対策
美味しいイチゴを食べられるように、注意点をしっかり押さえて病気や発生や虫や鳥の食害を防ぎましょう。
枯葉の除去
イチゴの場合は、12月頃に葉が赤やオレンジ色に紅葉したり、株元の葉が茶色くなったりします。
これらの葉は光合成をするわけでもありません。
枯葉をそのままにしておくとカビが生えるなど病気発生の原因になるので、ハサミでこまめに取り除きましょう。
害虫対策
イチゴの害虫には主にアブラムシとナメクジの2種類います。
アブラムシは繁殖力が強いため、個体数が多くなる前に取り除くのが重要です。
予防方法としてはアブラムシが黄色に誘引される性質を利用して、黄色の粘着テープを株の周囲に設置してもよいでしょう。
ナメクジは、花や実をなめて食害します。ナメクジを駆除するには熱湯の方が効果的です。
株元にまいておけば、ナメクジを誘い出し、食べさせて退治する殺虫剤もあるので使ってみてもよいでしょう。
鳥対策
実が赤くなると、鳥が実を食べにきます。
畝全体にネットを掛けて鳥を予防する場合は、受粉を助ける昆虫が出入りできるよう、網目の大きい防鳥ネットを使用しましょう。
甘くて美味しいイチゴの作り方
甘いイチゴを作るためには、糖度を上げなければなりません。
糖度を上げる方法として以下の3つがあります。
- 日当たりのいいところで育てる…光合成が十分にできるよう、できるだけ長時間日の当たるような露地を選びましょう。
- 冬季の水やりを控える…イチゴは水を十分に与える必要がある植物ですが、イチゴを甘くするためには、冬の間の過度な水やりは控えましょう。
- 手入れをしっかり行う…ランナー摘み・わき芽かき・摘果など手入れをしっかり行いましょう。
養分がしっかり果実にゆきわたり、甘いイチゴができます。
まとめ
露地栽培では、自然の環境で育てられるためイチゴ本来の味を楽しめるでしょう。
正しい栽培方法で実践すれば初心者でも美味しいイチゴがたくさん収穫できます。
ぜひ、今回紹介した内容を参考に実践してみてください。